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【2025年版】学会誌のJ-STAGE掲載ガイド:公的資金研究の論文OA義務化に対応

「オンライン化で学会誌の閲覧数が増えるのはわかるけど、むしろ価値は下がるのでは?」

「小規模な学会でもJ-STAGEを使ってオンライン化する必要がある?」

この記事では、学会誌のオンライン化に迷っている発行機関に向け、J-STAGEの特徴や掲載の具体的な手順などを紹介します。よくある誤解とその解決策、小規模学会向けの編集・運営効率化のアイディアなども解説。論文の価値を高め、研究成果を広めるためのヒントが満載です。

※本文中の説明はすべて2025年1月現在の情報に基づきます。

1. J-STAGEに学会誌を搭載するメリット

まずはJ-STAGEについて、その概要や類似の論文プラットフォームと異なる点を確認しておきましょう。

1-1.基礎知識:J-STAGEの概要とその役割 

 J-STAGEは、文部科学省管轄の「科学技術振興機構(JST)」が運営する電子ジャーナルプラットフォームです。研究成果の共有を促進しています。

論文のオープンアクセス(OA)化により、世界中の研究者へ成果を届けることができます。閲覧数や引用数が可視化され、学会誌の影響力向上にも貢献しています。

1-2.2025年度より公的資金による研究論文の即時オープンアクセスが義務化

2025年度から、公的資金を受けた研究論文の即時OAが義務づけられます。

この背景には、学術出版社による市場支配や購読料・掲載公開料の高騰と、それに伴う研究者や大学の負担増があります。OAの日本の研究競争力低下を回避するねらいです。

J-STAGEのシステムは、論文やジャーナルのOA化に最適です。

参考記事:【ステップ&事例あり】J-STAGE活用法 学会誌・論文のオープンアクセス化とは?

1-3.搭載メリット:Ciniiなどと比較して発行機関へのサポートが充実

J-STAGEの特長として、ジャーナル発行機関へ包括的なサポートを提供している点も見逃せません。

国内論文プラットフォームには、ほかにもCinii(サイニィ)などがあります。ユーザーは似た印象を抱きがちですが、発行機関から見るとその違いは歴然です。

J-STAGEは、学術雑誌のオンライン発行から管理までを一貫して支援しており、アーカイブ機能にも強みを持ちます。成り立ちや規模を問わず、それぞれの学会に最適な活用法が見つかるでしょう。

2. オンライン化に踏み切れない学会によくある誤解と懸念

学会誌のオンライン化については、さまざまな懸念や誤解が存在するのも確かです。しかし実際にはそれらの多くは解決が可能です。

2-1. 誤解・懸念①「学会誌や論文の価値が下がる」

まず、オンライン化による価値の低下を懸念する声があります。

特に著作権管理の難しさが指摘されることが多いものの、J-STAGEでは詳細なガイドラインが整備されており、学会や執筆者の意図に沿ったライセンス管理が可能です。

またOA化により閲覧数が増加する事例も多く報告されており、論文の価値が下がるとは考えにくいです。

2-3. 誤解・懸念②「莫大な費用がかかる」

次は費用面です。

確かにゼロから独自のWebサイトを構築したり、システムを導入したりする場合には初期投資が必要です。しかしながらJ-STAGEは掲載無料で、すでにあるサービスを利用するため、これに関する初期コストは最小限で済むでしょう。

掲載用データの準備や登録作業にはコストが発生しますが、移行後に冊子体の印刷や管理・配送コストが不要となる(あるいは大幅カットが可能である)ことまで考慮すると、トータルでは経費削減につながるケースが多いでしょう。

2-3. 誤解・懸念③「冊子体・紙媒体の学会誌を求める声が多い」

紙媒体の信頼性を重視する意見も根強く存在します。特に冊子体に慣れた学会員にとっては、紙の学会誌への愛着が最も大きな障壁となるかもしれません。

この場合、紙媒体と電子版を併用する「ハイブリッド出版」が有効です。従来の出版形式を維持しながらオンライン化のメリットも享受できるアプローチです。

2-4. 誤解・懸念④「運営に高度な専門知識が必要」

「オンライン化には、高度な専門知識が必要」というのも誤解です。

実際には、J-STAGEには便利な設定機能や詳細とガイド資料が揃っており、誰でも比較的容易に管理・運営できる仕組みになっています。

データ準備や登録作業などを得意とするJ-STAGE掲載支援サービス企業も存在するため、必要に応じて外部委託も検討してください。

誤解や懸念の多くは、J-STAGEの公式サポートや外部支援サービスによって解決できます。学会の状況に応じて段階的に計画し、スムーズなOA化を実現しましょう。

3. 学会誌をJ-STAGEに登録する具体的な手順

続いて、初めて学会誌をJ-STAGEに登載する際に必要な手続きや手順について解説します。登載とはJ-STAGE上に公開することを指します。

3-1.J-STAGEへの新規登載申請・ISSN取得

まずはJ-STAGEから、申請書類や見本誌の提出による審査を受けます。また別途、申請時別途オンラインISSN(International Standard Serial Number、国際標準逐次刊行物番号)の取得が必要です。「ISSN日本センター」のISSN登録申請画面で申請後、通常2~3週間程度で発行され、その番号をJ-STAGEに登録することになります。

外部リンク:「新規登載の申し込み」(J-STAGE)

3-2公開用データ準備と編集登載システムからの登録

審査通過後に編集搭載システムから論文データなどを登録していきます。このとき本文データのPDF化、メタデータのXML化などの作業が発生します。詳しくは本ブログのこちらの記事で触れています。

参考:【編集搭載】J-STAGEマニュアル中学生にもわかる簡単8ステップ!

4. 小規模学会がJ-STAGEを活用して編集や運営を効率化するアイディア

ここからは、小規模な学会がスムーズにJ-STAGEを導入・運営効率化を実現するためのいくつかのアイディアを紹介します。

4-1.効率化を見据えたプロジェクト体制の再構築

少人数で学会を運営していると、目の前の学会誌編集業務に手いっぱいで、OA化に踏み切るタイミングが難しいかもしれません。しかし導入後はシステムを活用して、編集や管理にまつわる作業を省力化できます。

切り替え前と後の運営コストを定量的に見積もって比較してみましょう。そのうえで、一時的に変革プロジェクトの担当者を増員してOA化を推進するという判断もあります。

4-2.J-STAGEによる、公募制・無料ジャーナルコンサルティング活用

J-STAGEでは公式に、掲載誌に対するジャーナルコンサルティングを実施しています。これはJ-STAGEでの搭載後に、ジャーナルの品質向上を目指す学会に向けて、公募制で無料提供されているサービスです。

英文誌・和文誌が対象で、採用されれば専門的なサポートが受けられます。品質と効率とを両立する学会運営のため、こちらへの応募を検討してみるのも一案です。

4-3. 外部専門サービスとの連携

データ変換・登録作業などに人手が足りない場合は、外部の掲載支援サービスと連携するのも効果的です。

知見や実績が豊富な企業によるサポートで、多忙な担当者の負担も軽減され、限られたリソースを研究発表や学術交流に集中できるようになるでしょう。

5. 学会誌・学術雑誌登載に関するよくある疑問と解決策

最後に、学会誌掲載・運営に関するよくある疑問と実例に基づくヒントを以下にまとめました。

5-1.既存の学会員と一般読者とはどう差別化できる?

論文ごとに公開タイミングや範囲を指定できるので、例えば一部の巻号のみ閲覧に会員認証を設定し、その他のコンテンツは全体公開にする、といった方法がよく採用されています。

「最新号のみ」や「発行から1年間」を会員限定公開とする学会も少なくありません。

5-2.発表した論文の権利はどうなる?

OA化に先だって、ジャーナルもしくは論文単位でクリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスを設定し、再利用範囲を明確にしておく必要があります。

そのほかOA化前に検討すべき事項は、先に紹介したこちらの記事でもチェックしてみてください。

まとめ:J-STAGEに学会誌を掲載して編集・管理を効率化

J-STAGEを基盤にした学会誌のオンライン化は、閲覧数の向上や運営効率化にも役立ちます。学会のJ-STAGE導入にはすでに豊富な実例があり、さまざまな懸念や誤解にもヒントがあります。無料のコンサルティングや外部サービスも活用すれば、継続的かつ効果的に研究成果を広めていけるでしょう。

日本印刷出版では、J-STAGE掲載に関するご相談をお受けしております。

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