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【論文印刷の方法】高品質・低コストを両立する14のテクニック

「発行部数が少ないのでどうしてもコストが上がる…かといって自分で印刷・製本するのは面倒!」

「そもそもデジタル化が進む現在、論文をわざわざ印刷する必要はあるの?」

論文誌を印刷する際に、このように考えてしまう人は多いのではないでしょうか。

この記事では学術論文の印刷についての基礎知識を詳しく解説します。印刷前の準備、デザインの最適化、用紙選定や印刷方法などの各工程や、品質と費用とを両立させる方法が分かるほか、印刷だけでなくデジタルアーカイブと併用するメリットについても取り上げます。

この記事はこんな人におすすめ

・初めて論文や紀要を印刷するが、どのようにすれば良いか方法が分からない

・高品質な冊子を、できるだけコストをかけずに作りたい

・印刷だけでなく論文のデジタルデータとの使い分けについても知りたい

なぜ論文の印刷は重要なのか? 印刷とデジタル化の基本

まずは論文の印刷が重要である理由を、印刷物のメリットや、デジタルアーカイブとの違いを中心に説明しましょう。

論文を印刷するメリット

印刷にはまずは情報保管の面で利点があります。

研究成果という価値ある情報を物理的に残すことは、今後その分野への研究がより深められる機会を増やします。

さらに印刷物は学会やプレゼンテーションで使用しやすく、情報の視覚的な伝達に役立ちます。画面を通じての共有では、自分の意図する箇所を、相手が本当に追えているかチェックするのに限界があります。その点、紙ベースであれば、相手の反応をリアルタイムで確認しやすいです。

また印刷物は、論文のような重厚な文章や複雑な図表を読むスタイルにも適しています。軽い読み物や漫画は画面で読めても、論文は紙のほうが分かりやすいと考える人も多いでしょう。

論文を印刷することと、デジタルアーカイブの違い

デジタルアーカイブは、論文を電子的なフォーマットで保存することを指します。デジタル化した情報はファイルやデータベースに格納され、PCやタブレット等の電子デバイスでアクセスされます。

印刷とデジタルとでは、保存性と耐久性に大きな違いがあります。印刷物は経年劣化するため、変色や破損には注意が必要です。デジタルアーカイブはそのリスクがありませんが、データのセキュリティに気を配り、場合によっては定期的なチェックとバックアップをしなければなりません。

また検索性も重要なポイントです。印刷物のみだと物理的管理が必要で、閲覧方法が限られることもあります。デジタル版はインターネットやデータベースを通じて容易に検索やアクセスができます。

デジタルデータとの併用で効果を最大化

したがって、論文は印刷版とデジタル版の両方を用意しておくと効果を最大化できるでしょう。

対面での発表や共同研究プロジェクトでは、印刷版があると情報を追う体験を他者と物理的に共有しやすく、メモ取りやハイライトにも最適です。学生の学習や研究のサポートをする際にも同様の使い方ができます。

デジタル版は検索性とアクセシビリティが鍵となる場面で理想的です。他者に一部だけを参照してほしいとき、ヒントとして軽く紹介したいときなどにも、印刷と配布の手間やコストが省けます。

これからは物理とデジタルの2つのタイプを状況によって使い分けるのが、研究成果の管理において最適な選択といえるでしょう。

印刷前の品質を高める4つのステップ

続いては、実際に論文を印刷するにあたって品質を高める4つのステップを解説します。

ステップ① 本文の校正(プルーフリーディング)

「プルーフリーディング」とは、文書や論文を公開する前に、誤字、脱字、文法や句読点の誤りなどの間違いをチェックし、修正する作業のことです。

おもに以下のような点をチェックします。

・誤字脱字:文字の間違いや抜けがないか

・文法:文法が正しいか、文章が自然かどうか

・句読点:句点や読点のほか、カンマ(,)、ピリオド(.)などが適切に使われているか

・文の一貫性:全体を通して同じ言葉の使い方やスタイルが統一されているか

日本語、英語の論文校正を手がける専門業者もあります。

ステップ② フォーマットの統一

続いては本文以外の箇所を整えいきましょう。

タイトル、見出し、字体、マージンなどのフォーマットを一貫させます。本文はもちろん、資格的にも明瞭で一貫性がある論文は読者からの信頼性が増します。

発表先にガイドラインがあればそれに従ってください。自分の目で確認するだけでなく、テンプレートやサポート機能のある文書処理ソフトウェアを利用すると安心です。

ステップ③ データと図表のクオリティチェック

データや図表も重要な要素です。内容が正確であっても、印刷によって視認性が悪くなる事態は避けなければなりません。

特に細かすぎるデータや図表は印刷の大敵です。文字などがつぶれてしまわないよう、縮小を前提としてサイズやレイアウトを調整しましょう。

また本文で言及する図表番号との整合や、キャプション内容に誤りがないかどうかもしっかり確認してください。

ステップ④ 引用と参考文献の精査

図表と同様、引用文献も論文の印刷前にいま一度精査しておきたいポイントです。

文中で引用された全ての資料が参考文献リストに記載されているか、引用箇所のスタイルがガイドラインにきちんと沿っているか、書誌情報(著者名、書籍・記事のタイトル、出版社、出版年、雑誌名、巻号、ページ範囲等)が正しいかなどを精査します。

見た目も大事! 論文誌を魅力的に見せる5つの秘訣

本文以外で意外と大事なのが、冊子全体の見た目です。商業誌ほど凝る必要はありませんが、コストを重視しすぎてチープな仕上がりになってしまっては台無しです。

1. きれいで読みやすい論文誌とは

印刷する冊子の印象を左右するのは、表紙のデザイン、表紙と本文に用いる紙、製本方法(バインディング)などです。

また表紙をめくって目に入る、目次や索引のページ、全ページに共通するページ番号(ノンブル)、ヘッダー・フッターの配置なども重要です。これらも論文誌全体の品質イメージに関わります。

2. 表紙デザインのアイディア3つ

表紙はまず、タイトル、著者名、出版年などの情報がクリアに表示されていることが重要です。一見して何の本か分からないような配色や文字サイズにならないようにしてください。

表紙の背景が、落ち着いた単色かシンプルなパターンであれば、読む人は現代的かつプロフェッショナルな印象を持ちます。

また研究テーマに関連する画像を使用した表紙なら、どういったジャンルの論文が掲載されているかが分かりやすいでしょう。

高級感を出したい場合、厚みのある濃色の表紙に箔押し文字を施すといった方法も考えられます。

3. 論文誌の表紙に適した紙の種類

画像を使わないシンプルな表紙デザインでは、一般的に「色上質紙」や、「マットコート紙」が多く選ばれます。また「レザック」は表面に独特の凹凸や質感がある特殊紙で、皮革に似た模様から高級感のあるイメージに仕上がります。

画像を効果的に見せるのであれば、発色の良い紙を選ぶと良いでしょう。一例として、写真やカラーイラストが映える「コート紙」や、光沢のある「アートポスト」などがあります。

なお印刷用紙の厚さは「○○k(キロ)」という単位で表します。これは1000枚分の重さが何㎏に相当するかを表すもので、数字が大きくなるほど厚く、単価も高くなります。表紙用には110k(厚口)や135k(最厚口)が向いているでしょう。

4. 本編の紙の選び方

本編の印刷用紙では、以下のような種類がよく採用されています。

・上質紙 表面はなめらかで、細かな文字も鮮明に印刷できます。一般的な文書や書籍に広く使用され、読みやすさと品質のバランスに優れます。

・書籍用紙 文庫本などでよく使われる用紙です。白い上質紙よりもややベージュ寄りで、目の負担を抑えます。「クリームキンマリ」や「琥珀」など、さまざまな商品があります。

ページ数にもよりますが、本編の用紙の厚さは、70k前後が妥当です。

5. 製本方法(バインディング)

最後は製本方法です。バインディングとも呼び、一例として以下のようなスタイルがあります。

1.中綴じ(サドルステッチ)

紙を中央で折りたたみ、中心部分をホチキスで綴じる方法です。ページ数が少なめの冊子に適しており、コストも低く抑えられます。

2.無線綴じ(パーフェクトバインディング)

ページの背を接着剤で固定し、その上から表紙を貼り付ける方法です。背が平らになるため書棚に並べた際も見つけやすく、一般的な書籍で採用されています。

3.平綴じ(フラットバインディング)

印刷された用紙の束を平らに重ね、背から5mm程度のところをホッチキス(針金)で1~3ヶ所程度留める方法です。他の綴じ方に比べてコスト効率が高いのが特長です。

他にも、接着剤や糸を用いるいろいろな製本方法があります。ページ数や予算に応じて検討してみてください。

印刷コストを抑える5つのポイント

以上をふまえて、論文誌の印刷でコストを抑えるためにできる工夫を5つ紹介しましょう。

ポイント① ページ数とレイアウトの最適化

ページ数を最小限に抑えるために、文章や図表のレイアウトを見直します。無駄な空白を減らしコンパクトにまとめれば、ページ数を削減できます。

ポイント② 紙の種類と厚みの選択

高価な紙や厚手の紙を避け、コスト効率の良い紙を選びます。必要十分な品質を満たすうち、最もコストパフォーマンスに優れたものを選択するのがポイントです。

ポイント③ 製本方法の選択

コストのかからない簡易的な製本方法を採用するのも予算削減につながります。

ポイント④ 校正やデザイン作業の内製化

可能であれば校正やデザイン作業を内製化し、外部への依頼工程を減らします。無料または低価格のツールを活用するのも一つの方法です。

ポイント⑤ 部数の正確な見積もり

不必要な在庫を抱えないよう必要部数を正確に見積もります。過剰な印刷はコストの無駄となり得るため、実際の需要に合わせた印刷部数を算出してください。

ネットで注文? それとも地域の印刷店? 印刷業者の選び方

近年ではオンデマンド印刷ができるネット印刷サービスも増えました。一方で地域の印刷店を支持する人もまだ多くいます。両者のメリットとデメリットを確認してみましょう。

ネット印刷サービスと地域の印刷店のメリット・デメリット

ネットプリントのメリットは、「オンラインでどこからでも注文できる」「ある程度決まったパターンからの選択で手間や価格を抑えられる」のが魅力です。

その反面「物理的なサンプルがない」「詳しいニュアンスを相談しづらい」といったデメリットもあります。

地域の印刷店には、「物理的サンプルを確認できる」「直接印刷の専門家に相談して細かい要望を伝えられる」というメリットがあります。

他方、「ネット印刷に対してコストが高くなる可能性がある」「店の営業日や営業時間の制約を受ける場合がある」といったデメリットがあります。

オプションサービスのバリエーションや納期に関しては業者によって異なり、ネットだからこう、実店舗だからこう、と一概にはいえないのが実情です。

ネットか実店舗か? 印刷サービスの選び方

自分に合った印刷サービスを選ぶ際、まず予算を確認してください。その上で、コスト効率の良いサービスを選びます。

一般にネット印刷は低コストですが、小ロットであれば地域の印刷店にも競争力があるケースがあります。

もしも仕上がりの品質チェックが必要ならば、地域の印刷店でサンプル確認のプロセスを踏むほうが安心でしょう。そこまでこだわりがなければ、ネット印刷でもある程度のクオリティは達成できます。納期やアクセスの利便性なども考慮して、総合的に判断してください。

論文誌印刷に強みがある印刷会社も

論文誌の印刷に強みのある印刷会社もあります。比較検討するうえで、候補に入れてみてはいかがでしょうか。論文を印刷したい人には、一人ひとりさまざまな悩みがあります。それらに長年対応してきた実績から、最適なヒントを与えてくれるでしょう。

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