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「研究で得たデータを論文にどう落とし込めばいいのか、全く見えてこない」

「そもそも研究テーマ自体も、まだ頭の中にぼんやりとしか浮かんでいない」

論文を書くにあたり、このような壁に直面している人も多いでしょう。

この記事では、論文執筆の基本を網羅的に解説します。まずは論文の基本的な構成やスタイルを紹介。さらに研究テーマを選定する6つのステップから、仮説の実証方法に至るまで、具体的なヒントを提案します。また最後には、論文の評価を左右する9つの注意ポイントについてもまとめました。

ぜひ執筆の参考にしてみてください。

▼この記事はこんな人におすすめ

・論文の構成などの基礎知識を再確認しておきたい

・資料として論文を読む前に、慣れていないのでルールや様式について知りたい

・論文作成で行き詰まっているので、とりあえず何らかのガイドに沿って頭の中を整理したい

1. 論文の基本知識

まずは「論文とは何か」「レポートとどう違うのか」を理解しておく必要があります。定義や意義を確認しておきましょう。

論文とは何か その目的と重要性

論文とは「特定の研究テーマに関する分析と結果をまとめ、文書化したもの」です。

論文を発表する主な目的は「新しい知見を見出し、それを学術コミュニティや広い世界に共有すること」にあります。実験、観察、調査などを根拠に「いま知られている事実」に対して、新たな解釈を提供するのが学術論文です。

また学問以外に、政策や教育、医療、社会問題解決などのさまざまな分野にも影響を与えています。

論文とレポートの違い

論文とレポートでは、目的やスタイルが大きく異なります。

論文は執筆者自らがテーマを設計し、その研究成果を、科学的根拠とともに発表します。そこでは「オリジナリティのある研究内容であるか」や「専門分野の進展へ貢献しているか」が重視されます。

対してレポートの発表目的や研究トピックは、一般的に論文よりも狭く、構造や公開手順に関しても厳格さを求められません。

卒論と修論、査読論文

卒業論文(卒論)は、大学の学部生が学んだ知識の理解や応用能力を示すものですが、研究範囲は限定的です。学生が「ロジカルに情報を整理・分析する力」「文書で自分の考えを的確に伝える力」を培うのに良い機会です。

修士論文(修論)は大学院生が、より専門的で深い研究を行い、分野への具体的な貢献を目指して執筆します。

査読論文は学術雑誌や学会で発表されるもので、他の専門家による審査を経なくてはいけません。これにより質と信頼性が保証されています。

2. 研究テーマを明確にする6Step

「オリジナリティのある研究であるか」を左右するのはテーマ設計です。研究を通じてどのようなことを明らかにしたいか、次の6つのステップにしたがって検討してみてください。

Step1.興味と専門分野の探求

まず何よりも「自分が熱意を持って研究に取り組める分野」を探求します。入り口は一見学問らしく感じられない事象でも、何でもかまいません。

近年人気の研究分野には、「気候変動」や「人工知能(AI)」、「再生可能エネルギー」、「心身の健康」などがあります。

Step2.書籍や論文などの先行研究レビュー

次はその分野に関連する先行研究について調べます。多様な論文や書籍に触れた分だけ、気づきや着想が増えるでしょう。

その中で未解決の部分が明示されていたり、個人的に違和感を覚えたりする部分があれば、そこには大きなヒントがあります。

Step3.実現可能性の評価と研究方法の選定

研究テーマを絞り込む際には「本当にそれを実証できるのか」を考慮する必要もあります。

例えば海外調査が必要であるにもかかわらず、その実現が予算やスケジュール上難しければ、現地協力者を探してオンラインで意思疎通するなども検討しましょう。

予算や時間、技術的制約などのリソースの中で、最大限可能なアプローチを選定してください。

Step4.オリジナリティと貢献度の検討

テーマにどれだけ新規性があるかや、アカデミアへの貢献度を評価するプロセスも大切です。

本来は避けたほうが無難ですがもしも似た手法で似た結論を述べた論文がすでにあれば、視点や実証の手法を変え、完全に差別化してください。

Step5.研究する問題と仮説の定義

テーマを決めたら、論文を通じて明らかにする「問い」とそれを解決する「仮説」について明確に定義しましょう。

これが研究の方向性を決定付け、具体的な計画を立てる基盤となります。

Step6.他者への相談とフィードバック

テーマの構想段階で、指導教員や研究仲間と相談を重ね、フィードバックを得ることも重要です。

第三者からの意見やアドバイスは、研究テーマの価値や妥当性を再評価したり、調整したりするのに役立つでしょう。

価値ある仮説を立てるポイントのまとめ

仮説のポイントは「テーマについてよく理解し、検証可能な予測を立てること」です。そのためにも、一部繰り返しとなりますが、改めて以下の4つの要点を押さえてください。

①多様な文献をよく読み込んで、その中に未解決問題やギャップを見つける

②これらの問題に対する簡潔で明確な仮説を考える

③その仮説が、調査や実験、観察などで検証・反証が可能なことを確認する

④仮説の構想を他者に相談し、その妥当性を確認する

3. 考察、要旨、謝辞など…よくある論文の基本構成・スタイル

次に、論文の基本構成やスタイルを紹介しましょう。

科学的論文の本文でよく使われる「IMRAD(イムラッド)形式」とは

「IMRAD形式」は、理系分野などの科学的論文で標準的な構成です。

この名前は「Introduction(序文)」、「Methods(方法)」、「Results(結果)」、And、「Discussion(考察)」の頭文字に由来します。研究の透明性と整合性を高めるとともに、読者が内容を理解・評価しやすくなる形式です。

・Introduction(序文・序論):

 研究の背景、目的、仮説を提示し、研究の重要性を説明します。

・Methods(方法):

 研究で採用した実験や調査の手法・手順・設定、データ収集・分析方法などを詳しく記述します。

・Results(結果):

「方法」で得られたデータとその分析結果を、図表を用いて報告します。

・Discussion(考察・議論):

「結果」の意味を解釈し、それが立てた仮説や他の研究とどのように関連しているか、また研究の限界や今後の方向性についても考察します。

このほか、分野や発表先などにより「APA」「MLA」などのフォーマットを適用するケースもあります。

題名・要旨・目次・謝辞・参考文献などの要素

本文をIMRAD形式で執筆した上で、前後には題名から参考文献までの必要要素を、以下の順で配置します。

題名:研究全体を網羅かつ要約し、何について、どんな手法で検証したかも分かる内容にしましょう。

要旨:仮説に対する結論を、冒頭でできるだけ簡潔に文章でまとめてください。

目次:章立ては内容のダイジェストとして機能します。読者が論文の概要を把握するのに重要な箇所です。

謝辞:研究にあたり協力を得た人へのメッセージです。特になくてもかまいません。

本文:IMARADなどの構成方法にのっとって展開します。

参考文献:表記ルールに従って、文献一覧として書籍名や著者目をまとめて記載します。

また最後に「付録」として、より詳細な調査データ一式や図表、実験の詳細な手順、調査の質問票やインタビュースクリプト、研究倫理に関する文書などを追加する場合もあります。

4. 文献レビューの進め方

続いて、論文の中でも1つの形式として取り入れられる「文献レビュー」について説明します。これは先行・関連研究の文献を系統的に収集、分析、評価し、その知識をまとめて報告したものです。

先行・関連研究の調査と整理

先行・関連研究の調査と整理は、自分の設定したテーマを深く理解するのに不可欠です。

まずは図書館やオンラインデータベースから、テーマのヒントになりそうな論文や書籍を探します。文献の探索には、論文の参考文献リストや、キーワード検索を活用してください。

文献レビューの書き方

次に文献から気になったアイデアや理論、研究プロセス、結果を抽出し、ノートに記録します。複数の先行研究の共通点や違いを分析してみるのも良いでしょう。

文献レビューは単なる情報の列挙ではなく、批判的な視点を加えるよう意識してください。読んだ人が研究の背景と重要性を理解できるように、明確で簡潔な表現を心がけます。

5. 論文の良し悪しを分ける注意ポイント9項目

最後に、論文の評価を分けるチェックポイントを9項目まとめます。以下に沿ってブラッシュアップを重ね、論文のクオリティを高めましょう。

1. 研究目的が明確化か

2. 十分な文献レビューがなされているか

3. 研究方法は適切か

4. データに誤りがないか

5. 深い分析がされているか

6. 結論が明確で、かつ論理性があるか

7. 引用は適切か

8. 文章は明瞭か

9. 研究課程に倫理違反がないか

論文を完成させるまでの道は複雑です。しかし、基本構造や上記のポイントに照らし合わせ、論点整理するプロセスを重ねれば、決して困難なことではありません。

あなたの研究は新しい知識の扉を開く鍵です。壁を乗り越えて得た知こそが、未来の誰かを助けます。その価値ある探求を続けてください。

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