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【学術大会の資料】J-STAGEへの掲載準備・手順・スケジュール例

「学術大会の資料管理や配布作業の効率化には、具体的にどのような方法がある?」

「大会運営スケジュールに合わせてJ-STAGE導入するには、どのタイミングで何をすればいい?」

本記事では、J-STAGEで学術大会の資料を公開するメリットや、データの準備や登録方法を紹介。進行スケジュールのアイディアや各資料の作成ポイントまで徹底解説します。大会をきっかけに資料のオープンアクセス化を実現し、学会運営の効率化に役立ててください。

※本文中の説明はすべて2025年1月現在の情報に基づきます。

1. 予稿集など、大会関連資料をJ-STAGEに掲載するメリット

まずは大会関連資料をJ-STAGEに掲載するメリットや、実際に公開されている資料の種類について解説しましょう。

1-1. 学術大会・学会集会の開催意義

学術大会や学会集会は、研究者が最新の研究成果を発表し、議論を交わす場です。

学術大会は特定の幅広い分野を取り扱うことが多い一方で、学会集会は特定の分野に絞り込まれた内容が主流です。いずれも研究の進展を促進し、研究者同士が交流するための貴重な機会です。

1-2. J-STAGEで公開されている大会関連資料の実例

J-STAGEには、多岐にわたる学術大会や集会の資料が掲載されています。以下はその一例です。

  • 抄録集:発表内容の簡潔な要約を収めた資料
  • 講演要旨集:講演内容をまとめた文献
  • 大会予稿集:各発表の要旨や研究内容の詳細
  • 大会報告:大会の成果や事後調査データ、参加者による振り返り記事

あくまでも一例で、資料の分類や呼称は、学会によりさまざまです。いずれも研究者や関係者にとって貴重なリソースとなっています。

1-3. 大会関連資料をオープンアクセス化する利点

大会関連資料をJ-STAGEでオープンアクセス(OA)化することには、以下の3つの利点があります。

1つ目は、研究成果の認知度向上です。会員以外にも発表内容を広く共有すれば、トピックを核にした研究者や機関間のネットワークを強化できます。

2つ目は、アクセス数・引用数の増加です。多くの人に再利用される可能性が広がり、学会の認知度や影響力が高まるでしょう。

最後は、デジタル化による保存性の向上です。電子化された資料は長期的かつ安定的に保存可能です。数年・数十年先の研究者にとっても、貴重な事実にアクセスしやすくなります。

参考:【ステップ&事例あり】J-STAGE活用法 学会誌・論文のオープンアクセス化とは?

1-4. 学会・学術大会のオンライン開催との親和性

2020年頃の世界的なパンデミック下において、アカデミアでもオンライン化が急速に進みました。学会や学術大会のオンライン開催は、地理的・予算的制約を超えた交流を推進します。

J-STAGEはオンライン開催と親和性が高く、参加者全員が即座に共通の資料にアクセスできる環境が整います。

2. 学会・大会資料をJ-STAGEに掲載するための準備

次に、学術大会の資料をJ-STAGEに掲載するための具体的な準備のステップについて説明しましょう。

2-1. J-STAGEへの新規登載申請・審査

J-STAGEを初めて利用する学会は、新規申し込みと審査が必要です。詳しくは本ブログの以下の記事などを参照してください。なお、掲載は無料です。

参考:【2025年版】学会誌のJ-STAGE掲載ガイド:公的資金研究の論文OA義務化に対応

2-2. ファイルの作成

すべての書類において、データフォーマットを整えることが重要です。大会の資料はさまざまな著者が関わるので、レイアウトやセクション見出しなどの書式レギュレーションを統一を徹底しておきましょう。資料としての一貫性が重要です。

2-3. PDFもしくはXMLファイルへの変換

J-STAGEでは、PDFかXML、いずれかの形式でデータを公開できます。公式には、日本の学術成果を国内外に広く発信するという目的から、XML化を推奨しています。

PDFは読者が視覚的にそのまま閲覧できるのが特徴で、プレゼン資料や印刷物向きです。一方、XMLは構造化データを記述する形式で、外部論文プラットフォームとの連携や、検索エンジンにも最適化されています。閲覧のみならず引用やデータ分析にも有利な形式です。

XMLでは、記述したタグの正確性がデータの品質を左右します。よって、専門業者によるJ-STAGEへの掲載支援サービスを活用するのも効果的です。

参考:【初心者向け】J-STAGEの論文XMLとは? 基本フロー&ツール比較、作成効率化のヒントも

2-4. ISSNの申請・取得

J-STAGEでの公開にあたり、ISSN(国際標準逐次刊行物番号)が必要となる場合もあります。国内では国立国会図書館のサイトを通じて申請可能です。

外部リンク:国立国会図書館「ISSN登録の要件と手続き」

2-5. 著作権の設定

J-STAGEのジャーナル発行機関向け管理画面(編集登載システム)で、著作権の設定も可能です。

クリエイティブコモンズ(CC)ライセンスによって、資料の再利用条件を明確化できます。J-STAGEに掲載を申し込む前に、学会内で事前にルールやガイドラインを整えておきましょう。

3. 大会資料をJ-STAGEに登録する手順やスケジュール

続いて、編集管理画面でのデータ登録手順やスケジュール案など、掲載にあたってのヒントについて解説します。

3-1. 大会資料データの登録

まずJ-STAGEの「編集登載システム」にログインし、公開したいデータ(PDFもしくはXML)を登録します。

画面から必要事項を入力して、システム上でプレビューを確認し、誤りがないかチェックします。修正が必要な場合は、データを再アップロードすることも可能です。最終確認が完了すれば、設定した日時に資料が公開されます。

一般の読者に対して閲覧制限をかけたい場合は、認証プロセスを設けて会員のみに公開を限定するとよいでしょう。

参考:【編集登載】J-STAGEマニュアル中学生にもわかる簡単8ステップ!

3-2. 開催日を軸とした掲載スケジュール案

大会の開催日程に合わせるのには、効率的なスケジュール管理が鍵となります。

一例として、大会の開催日を起点にすると、以下のようなスケジュールが考えられます。

  • 3カ月前 J-STAGEへの新規登載申請
  • 2カ月前 予稿集などのデータ準備
  • 1カ月前 データ登録・確認・修正~設定完了
  • 開催後1週間以内 アンケート実施・報告記事の手配
  • 1カ月後 データ準備・登録
  • 2カ月後 報告記事掲載

多くの資料が必要な場合、データ管理ソフトやプロジェクト管理ツールなどの導入によって、作業効率が向上する可能性があります。漏れが生じないよう、チェックリストも活用しましょう。

3-3. 学会誌サポートサービスの活用方法

J-STAGEへの掲載にあたっては、専門の支援サービスを検討してもよいでしょう。データ整備、フォーマット修正、アップロード作業に一括で対応し、公開までの初期設定をスムーズに進められます。

特にXMLの作成などの専門的な作業には、想定外の手間がかかりがちです。外部のノウハウを取り入れると、時間と労力を大幅に削減できるでしょう。

4.データ作成・編集時の注意点

大会資料の作成・編集にあたって気をつけたいポイントをまとめました。一例として参考にしてみてください。

4-1. 抄録集

  • 構成・書式の統一
  • 文字数制限の厳守
  • 適切な引用記載

4-2. 講演要旨集

  • 基本情報(日時、場所、タイトルなど)
  • 客観的な内容要約
  • 具体的な学び
  • 今後の展望や課題

4-3. 大会予稿集

  • 指定フォーマットの遵守(用紙サイズ、マージン等)
  • ページ数制限の厳守
  • 外部リンクやデータ埋め込みなどの制限

4-4. 大会報告

  • アンケート結果等、客観的事実やデータの提示
  • 参加者によるレポートや質疑応答の抽出
  • (必要に応じて)謝辞

※これらはあくまでも一般的な要素ですので、詳細は学会ごとに検討・調整が必要です。

まとめ:煩雑な学術大会の資料公開や管理もJ-STAGEで効率化

J-STAGEを活用すれば、学術大会の運営における資料管理や共有も飛躍的に効率化できます。無料で掲載できる点、検索性や保存性にも優れる点を加味すると、大会の開催を1つのきっかけとして、学会誌や大会資料のOA化を進めるのも、賢い選択といえるでしょう。

日本印刷出版では、J-STAGE掲載に関するご相談をお受けしております。

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