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【J-STAGE】学会誌管理を効率化 国や時間を超えリーチも拡大

J-STAGEを活用した学会誌のオンライン発行は、研究成果の普及と管理効率化に大きな可能性をもたらします。オープンアクセスによる国際的な影響力の拡大や、アーカイブ・バックナンバーの取り扱いなどに多くのメリットがあります。本記事では、J-STAGEでの学会誌発行の意義や手順、他のプラットフォームとの比較などを詳しく解説します。

▼この記事はこんな人におすすめ

  • 学会誌の発行・管理作業をできるだけ効率化したい
  • 学会誌を印刷とオンライン公開の二刀流にして、読者層や影響力の拡大を図りたい

※本文中の説明はすべて2024年10月現在の情報に基づきます。

1.学会誌をJ-STAGEで発行するメリット

まずは学会誌を、J-STAGEでオンライン化するメリットについて確認しておきましょう。

1-1.オープンアクセスによるリーチ拡大

「J-STAGE(ジェイ・ステージ)」は日本の電子ジャーナルプラットフォームで、文部省所轄の国立研究開発法人、「科学技術振興機構 (JST)」 が運営しています。

オープンアクセス方式により、論文を国内外の研究者や一般読者にも広く届けられます。印刷版の学会誌に触れたことのない人にもリーチが拡大し、研究の影響力が高まります。

1-2.読者への利便性向上

J-STAGEで論文をオンライン上に公開すると、読者はどこからでも簡単にアクセスできます。

必要な論文を検索からワンストップで任意の端末にダウンロードできるため、目的の資料を探しに図書館に出向いてコピーしたり、学会に直接連絡してバックナンバーを取り寄せたりする必要がありません。

また表示はPCやスマートフォンのWebブラウザに最適化されています。デバイスを選ばない点も、読者にとって利便性が大幅に向上します。

1-3.アーカイブの管理効率化

J-STAGEでは過去の論文・記事の一括デジタル管理が可能です。手間をかけずに整理・公開できる点も、運営者にとってのメリットの1つです。

紙媒体の管理だと、何年の何号でどのような文献を掲載したか、別の資料から検索して書棚や倉庫から実物を探し出さなくてはなりません。紙や製本状態は物理的に劣化してしまうこともあります。

その点デジタル化されたアーカイブ記事なら、読者と同じ手順での検索によって最短でたどりつけます。保管スペースも不要で長期的な保存にも優れ、管理の効率化が図れるでしょう。

2.オープンアクセスによる研究成果のリーチ拡大

つづいて、学会誌や学術雑誌のオンライン化でよく使われる「オープンアクセス」という考え方について説明します。

2-1. オープンアクセスとは

「オープンアクセス」とは、研究論文をインターネット上で誰でも無料で閲覧できるシステムを指します。

特定の購読者に限定せず広く一般に公開することで、学術情報のアクセス障壁を取り除く仕組みです。

2-2. 学会誌がオープンアクセスを採用するメリット

学会誌がオープンアクセスを採用すると、特定の購読者だけでなく、幅広い読者にアクセスしてもらえるため、学会の研究成果が広く認知されやすくなります。

例えば以下のような層にもリーチして、新規の会員や協力者を得る機会が広がります。

  • 海外の研究者や関連分野の専門家
  • 非営利団体や政策立案者など、学術コミュニティ外のステークホルダー

また学会誌がより多くの人に読まれることで、オンタイムではあまり注目されなかった過去の研究成果が、新たな読者層・新たな文脈において再評価される可能性も高まるでしょう。

3.他の論文プラットフォームとの比較

論文プラットフォームには、国内の「CiNii(サイニィ)」、海外でもよく使われる「Google Scholar(グーグル・スカラー)」のほか、医学分野に特化した「PubMed(パブメド)」など、さまざまなサービスがあります。

これらと比較すると、J-STAGEは、日本の科学技術分野に強みを持っています。

また「電子ジャーナルプラットフォーム」として、論文単体というよりも学会誌全体のオンライン化を円滑に進められるのもポイントです。ジャーナル単位での発行管理のしやすさは、J-STAGEのほうに優位性があるといってよいでしょう。

4. 発行機関向け 論文・学会誌のアーカイブ機能と検索機能の使い方

次に、公開した論文や学会誌の管理のうえで重要となるアーカイブや検索の機能についてより詳しく紹介します。

4-1. J-STAGEのアーカイブ機能

J-STAGEのアーカイブ機能を活用し、インターネット普及以前の時代に印刷のみで発行されていた学会誌をデータ化し、公開している学会もあります。

これまでは書庫の隅に眠っていた研究の原点や歴史を世界に可視化することは、学会の枠を超えて同じトピックに関心を持つ人たちに、大きな意義をもたらすでしょう。

またすべての記事を発刊と同時に一般公開するのではなく「最初は会員限定とし、一定期間が経過したら一般公開する」方法もあります。これらのルールは、発行機関ごとの管理画面によって設定できます。

4-2. 学会誌のバックナンバー管理

J-STAGEは学会誌のバックナンバーの一元管理にも有効です。過去の号をデジタル形式で保存・公開すると、J-STAGEを学会誌のデータベースとして活用してみてはいかがでしょうか。

登録時に各号にメタデータを付与するため、特定のテーマや特集の号の検索も容易です。特定の分野や時期に関連した号を抽出し、アクセス数や論文の被引用数などを分析する場合にも役立つでしょう。

完全にデジタルへ移行すれば、読者から直接バックナンバーについて問い合わせを受けたり、個別に対応したりする必要がありません。

4-3. 印刷版のみ出版する場合との比較

学会誌のデジタル化は、印刷版のみの出版に比べて、管理と配布の面で大幅な作業効率化につながります。

印刷版は物理的な保管や発送の手間がかかりますが、デジタル版のみなら不要です。さらに印刷コストによる経済的負担も軽減されます。

ひと息に完全移行まで踏み切れない場合は、印刷とデジタルとを併用する「ハイブリッド出版」もおすすめです。紙で読みたい既存の読者を確保しつつ、新たな層を開拓できるでしょう。移行前の段階的な措置としても最適です。

5.時間や国境も超える、J-STAGEの活用例

ここからは、J-STAGEで公開されている学会誌の具体例をいくつか紹介します。

5-1.学会誌掲載の一例

日本でもっとも会員数が多い学会である「日本内科学会」は、J-STAGEで『日本内科学会雑誌』などを公開しています。年間13回発行されており、刊行から1年経過した記事をJ-STAGEで掲載しています。

また日本化学会が発行していた『日本化学会誌(化学と工業化学)』は2003年に休刊し、別の複数の会誌に引き継がれましたが、J-STAGE上では1972年の発行巻から休刊までの記事がアーカイブとして残されています。

例えば、吉野彰氏(リチウムイオン電池の発明で2019年にノーベル化学賞受賞)が執筆者に名を連ねる「リチウムイオン二次電池の開発と最近の技術動向」という2002年の論文も、同誌の記事としてJ-STAGE上で閲覧可能です。

5-2.国際的な連携機会を創出

J-STAGEへの学会誌掲載は、国際的な研究発展にも大きく貢献します。2015年の調査では、論文の本文ダウンロード数のうち約3割は海外のユーザーによるものであると明らかになりました。

J-STAGEは、Google Scholarや「Scopus(スコーパス)」などの国際データベースとの連携にも注力しています。海外の研究者による引用やアクセスの増加など、国際的な評価が増えることも期待されるでしょう。​

参考記事(PDF):坪井彩子「日本国内最大級の電子ジャーナル プラットフォームJ-STAGE」『アジ研ワールド・トレンド2017年5月号(No.259)』

6.J-STAGEを活用したオンライン学会誌の公開プロセス

それでは実際にJ-STAGEで学会誌を公開したい場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。

初めて学会誌をオンライン公開するには、以下のステップにしたがって進めてください。

  1. J-STAGEへの新規登載申請
  2. 論文フォーマットの準備
  3. J-STAGEによる審査・承認プロセス
  4. 公開の登録・管理

各ステップの詳細は、こちらの記事でも解説しています。

参考記事:【J-STAGE】論文を無料公開する意義とは? 掲載の4ステップも解説

まとめ:J-STAGEを活用すれば学会誌の普及・管理が効率化できる

J-STAGE上で学会誌を発行すると、オープンアクセスで国際的リーチを広げるだけでなく、アーカイブ管理も効率化できることを解説しました。論文データのアップロードの段階では専門知識が必要となるため、掲載支援サービスを活用するのもおすすめです。

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