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【J-STAGE】論文の動画活用術 必要性と検索方法、作成のコツ・公開手順まで

研究成果を効果的に伝えるのに、動画データは重要な役割を果たします。

J-STAGE(ジェイ・ステージ)に学会誌や学術雑誌を掲載すると、論文に動画を紐づける視覚的なアプローチも可能です。この記事では、研究成果の普及における動画データの重要性と、J-STAGEでの視聴方法や公開手順について、具体例を交えながら解説します。

▼この記事はこんな人におすすめ

  • 論文に動画を付けている事例や、J-STAGEでの詳しい視聴方法を知りたい
  • 学会誌や研究結果を公開する際に動画データを付ける手順を知りたい

※本文中の説明はすべて2024年5月現在の情報に基づきます。機能・画面仕様などは最新情報とは異なる可能性があります。正しい情報は必ずJ-STAGEで確認してください。

1. J-STAGEにおける論文の動画データ公開とは

現代ではさまざまな情報の伝達に動画コンテンツが効果的に使われており、論文についても例外ではありません。

まずは国内の主要論文プラットフォームの1つである「J-STAGE」での動画データについて、基本的な事項から確認しておきましょう。

1-1.論文における動画の役割と重要性

動画データは、論文の内容を視覚的に補足するものとして、学術の世界でもその価値が年々高まりつつあります。

複雑な実験手法や得られた結果を、わかりやすく説明できるだけではありません。言語や図表では限界がある「動き」や「音声」なども含めて総合的に情報を伝えたいときには、動画は最も効果的な手段となるでしょう。

1-2.動画データ活用が有効な研究分野8選

以下に、論文とともに動画を提示するのが有効な分野の一例を挙げてみましょう。

  • 医学:症例や治療の手順
  • 保健・看護学:実践的ケア技術
  • 生物学:実験手法や対象の生態
  • スポーツ科学:選手の動作や反応
  • ロボット工学:ロボットの動作
  • 人類学・民俗学:部族の文化や儀式
  • 美術学:動的デザイン・アニメーション技法
  • 舞踊学・表現学:ダンスや舞台の記録

このように医学・理工学のみならず、社会・人文科学から芸術領域まで、多岐にわたります。

1-3.電子付録として公開されている動画データの実例

電子付録動画は現在、多くのジャーナルで利用されています。

例えば『映像情報メディア学会誌』では、新技術の仕組みや利用シーンを示す動画が数多く公開されています。また『日本ロボット学会誌』では、ロボットの実際の動作状況のほか、モデル図を用いた解説動画などを視聴できます。

いずれの発行機関でも論文の補足資料として動画を付けることを推奨しており、投稿規程では動画の要件を詳細に定めています。

2. 動画資料の検索・視聴・ダウンロード方法

続いて、動画が付く論文のJ-TAGEでの検索方法、および視聴方法について説明します。

2-1.J-STAGEにおける動画付き論文の検索方法

J-STAGEでの動画データ付き論文の検索は簡単です。

トップページから検索バーに、目的のキーワードを入力して虫メガネボタンを押してください。

次に詳細検索結果のページで、左側(スマートフォン版であれば画面上部)に表示される「検索フィルタ」のバーのうち、「記事属性」内にある「電子付録」にチェックを入れると、付録のある論文だけを絞り込めます。

2-2.PC・スマートフォンでの閲覧方法

目的の論文を見つけたら、タイトルを選んで詳細ページに移動しましょう。

電子付録は論文概要のいちばん下に記載されています。動画は埋め込み式になっているため、埋め込み画面をクリックすると、同じページで再生が始まります。

ページ内で閲覧する場合、操作は再生と停止のみが可能です。特別なソフトウェアは必要ありません。ただし最新のブラウザと安定した通信環境が必要です。

この閲覧方法は、PCでもスマートフォンでもほぼ同じです。

2-3.動画データのダウンロード方法

埋め込み画面の下にはテキストで動画のダウンロードリンクが表示されています。そのテキストをクリックすると、そのままPCやスマートフォンに動画データを保存できる仕組みです。

保存したデータは端末ごとに搭載されたアプリケーションで再生するため、一時停止や巻き戻しも可能です。

3. 動画の作成と公開の手順

それでは実際に動画を付けてJ-STAGEで論文を公開したい場合、どのように進めたらよいのでしょうか。

3-1.高品質な資料動画を作成するための4つのポイント

まずは動画データを用意します。対象によっても異なりますが、押さえておきたい4つのポイントは、下記の通りです。

①撮影にあたってはできるだけ照明に配慮し、細部まで可視性を高めるよう努めてください。音声が重要な素材であれば、録音についても同様です。

②編集や演出技術に凝る必要はありませんが、視聴する人にとって理解のヒントになるのであれば、字幕やナレーションを加えてもよいでしょう。

③トピックの内容によっては、グラフィックスやスライドなどシンプルで効果的な視覚資料を補足しましょう。

④制作の完了前に第三者にもチェックしてもらい、指摘があれば改善してください。

3-2.J-STAGEへの動画資料のアップロード手順

電子付録動画のアップロード手順は以下の通りです。

  1. J-STAGEの発行機関向けの「編集登載システム」にログイン
  2. 「記事管理」画面から「記事編集」を選び、「ファイルアップロード」のタブをクリック
  3. 「ファイル種別」というプルダウンメニューの中から「電子付録」を選択
  4. ファイルアップロード後、同じ画面からタイトルや内容を登録

なおジャーナルの公開申請などの手順については、以下の記事で説明しています。

参考記事:【J-STAGE】論文を無料公開する意義とは? 掲載の4ステップも解説

3-3.公開後の動画資料の管理・修正方法

アップロード後の管理は同じ画面から行いましょう。修正などがあれば差し替えも可能です。また内容などテキスト情報も編集できます。

差し替えは画面上の「差し替え」ボタンから操作してください。作業後は、管理画面から一度動画をダウンロードして、意図通りファイルが更新されているかをチェックすると安心です。

3-4.J-STAGEの電子付録動画の形式や制約

J-STAGEでは論文記事の「電子付録」として動画を公開できます。電子付録には、動画のほか文書や音声、高精度画像なども含まれます。

J-STAGEが公表する資料によると、付録として公開できる映像はmp4やaviといった形式に対応しています。なおmp4ファイルの映像コーデックは「H.264」が指定されています。

また電子付録は「ファイル1件につき最大50MBまで、1記事あたり最大100件まで」という制約が設けられています。詳細はJ-STAGE公式サイトを確認してください。

外部リンク:J-STAGE登載誌が利用できる機能FAQ(J-STAGE登載機関向け)

4.動画データの効果的な活用方法

次に、研究成果の動画データ活用について、3つのポイントを補足しましょう。

4-1.J-STAGE Dataの活用

電子付録とは別に、J-STAGEは「J-STAGE Data」というサービスを提供しています。

これは、論文そのものではなく、研究のデータセットに特化した登載機関向けの「研究データの共有・公開プラットフォーム」です。

J-STAGE Dataでは、各データに固有のメタデータとDOI(Digital Object Identifier:インターネットジャーナルや学術論文でよく用いられる、デジタルオブジェクト識別子)が付与されます。したがって公開した論文とは独立して、動画だけを流通させることも可能です。

一方電子付録のデータは、リーチが記事閲覧者に限られており、補足資料としての役割に適しています。

J-STAGE Dataを活用すれば、動画を研究成果普及の1つのきっかけにできると考えられます。

4-2.動画の引用と著作権

研究における動画データの引用と著作権については、書籍や雑誌などの文献データと同じく、慎重な取り扱いが必要です。

引用する際には、論文と同様に出典を明らかに示し、引用部分が適切な分量・範囲に収まるように注意してください。文献ではページ数を記載するのに準じ、動画は引用箇所のタイムスタンプを明示しましょう。

動画内に引用として映像を使用する場合は、著作権者の許可が必要なケースであるかどうか、事前によく確認してください。

まとめ:論文を公開するなら動画活用も検討を

インターネットを介した研究結果の普及を背景に、近年では、研究内容を補足する動画データだけでなく、一部では論文の要旨(Abstract)や紹介を映像コンテンツ化する動きもあります。

これまでと異なるアプローチとして、学会誌や学術雑誌でも、研究にまつわる動画データを有効活用してみてはいかがでしょうか。

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